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天気の子

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面白かったのだけど、これはどうなんだろうなぁ。こちらの方が本来の新海誠の作家性を強く感じる作品なのだけど、何故だか僕は『君の名は』の方が面白く感じてしまった。それは僕が今作の帆高の決意に気恥ずかしいものを感じてしまったからかもしれないし、絵的に前作の方が好みだったからなのかもしれない。

総じて良く出来た映画だったと思う。相変わらず美麗な絵作り、前作で学んだテンポの良い脚本、空を舞う男女や崩れ落ちる階段、走る少年など、シンボリックだけど手垢がついたスタンダードな演出。これまでの作品で培った技術を活かしつつ、前作以上に自分のやりたいことを自由にやったという印象を受ける。結果、表面的なエンタメ性とハイコンテキストな複数のテーマが多層的に重なり、どこか居心地が悪く感じてしまったのも事実だ。

結末に関しては賛否あるだろう。限りなく狭い範囲で展開する物語なのに、世界のカタチを変えてしまう ── そんなところがセカイ系と言われる所以かもしれないが、本作はそれを一歩踏み越えている。観終わったとき、僕は『エヴァ破』を思い出した。大人な選択肢を選ばず、世界がどうなろうと自分の意思を貫き通す。それは『エヴァ破』で見せたシンジくんと同じ行為なのではないか。しかし本作がエヴァと違うのは、「世界がどうなろうと、そんなのは個人の範疇じゃない」と笑って受け入れる大人達の態度だ。ここにきてセカイ系の枠は捨象され、帆高は世界 = 東京 = 陽奈に受け入れられるのだった。これはとても新しい態度だなと思った。

「貴樹くんは、この先も大丈夫だと思う」── 自分の不安が主題だった『秒速 5 センチメートル』と、「僕たちは大丈夫だ」で締め括られる『天気の子』。一人から二人に、不安から決意に変わったその態度に、僕は少し泣きそうになった。