Usotsuki Online

Do you believe in the magic of make-believe ?

外に出ると夏だった。歩きながらあと何度こんな風に夏を過ごすのだろうと思う。学生時代は夏が来る度に今年の夏はあれをやろうこれをやろうと浮き足立ち、進学の前年にはもうこいつらと夏を過ごすことも無くなるんだなぁなどと感傷的になっていた。あるときは連日海へ、あるときは沖縄へ、またあるときは山や川でバーベキューしていたあの頃。友達の別荘に行き、彼女の兄が経営しているペンションへ。家から原付に乗って花火大会を見に行ったことを思い出す。社会人になると仕事に追われ、毎年職場から東京湾の花火大会を見ていた。仕事がひと段落すると海外や離島にひとりで行って自分はこれからどこに行くのだろうと考えた。それがここ二年ほど、三十路を越え結婚してからはまた随分違ったことを感じるようになった。具体的には死を意識するようになった。あと十年経つ頃には、あと十回夏を越えたら僕は……。未来はいまだ茫漠と在り自分がどうなっているのかは変わらず想像できないけれど、加齢と共に近付く死を思い、あと何度この鮮やかな夏を感じることが出来るのだろうと考える。清冽で豊かな彩りを感じながら過ごせる夏は、もうあと何度と無いのだ。