Subscribed unsubscribe Subscribe Subscribe

Usotsuki Online

Do you believe in the magic of make-believe ?

photo

物凄い勢いで秋が過ぎてゆく。

世界地図の下書き

世界地図の下書き

「いじめられたら逃げればいい。笑われたら、笑わない人を探しに行けばいい。うまくいかないって思ったら、その相手がほんとうの家族だったとしても、離れればいい。そのとき誰かに、逃げたって笑われてもいいの」

「逃げた先にも、同じだけの希望があるはずだもん」

読み終えて『世界地図の下書き』というタイトルが本当に素晴らしいなと思った。子供たちが直面するツラい現実は、厳しいこの世界は、まだ下書きで、やり直しが効くものなのだ。テーマは明快で、朝井リョウは「逃げてもいいんだよ」と言っている。それが誹られ指差されるような行為であったとしても、ツラい場所から逃げてやり直しても良いのだ。そのための縁となる思い出があれば、それでもきっと大丈夫なのだ。

「私たちみたいな人が、どこかで絶対に待ってる。これからどんな道を選ぶことになっても、その可能性は、ずっと変わらないの。どんな道を選んでも、それが逃げ道だって言われるような道でも、その先に延びる道の太さはこれまでと同じなの。同じだけの希望があるの。どんどん道が細くなっていったりなんか、絶対にしない」

ともすると甘くなり過ぎるテーマだが上手くバランスが取られている。それでも些か都合が良すぎる話なんじゃないかと言う人も居るだろうが、僕はこの小説が凄く良いなと思った。作者が描きたいことが真っ直ぐに伝わってくる。いま最も文学が描くべきテーマが真っ直ぐにここに描かれている。