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急遽予定が決まって朝から登山(というかハイキング?)。奥多摩まで行って 5-6 時間ほど散策した。午前中は曇りがちな天気だったけど午後からはすっかり晴れて気持ち良いハイキングだった。温泉に入ってから新宿まで戻り、夜 20 時頃に帰宅。

フランス組曲

フランス組曲

エピソードを見ると奇跡のような作品だということが分かる。作者であるイレーヌ・ネミロフスキーは著名な作家であったが、ユダヤ人であったため捕囚されアウシュビッツに送られて非業の死を遂げてしまう。彼女が戦時に一心不乱に書き続けた作品の原稿は夫に託されるが、その夫もまた妻と同じ運命を辿る。残された娘は親から託されたトランクに隠された原稿を懸命に守り抜き、作家の死後 60 年以上経って遂にその原稿を公開し出版した──というのがおおよその出版経緯らしい。

作品の後半に著者の執筆ノートや解説が書かれているのだが、執筆ノートを読むまで僕はすっかり男性作者の作品だと思っていた。冷徹なリアリズムに支えられた硬質な文体を用いつつも、時折挟まれるユーモアや、馥郁たる香りの漂う第二部『ドルチェ』の繊細さと甘やかさは登場人物達に深みを与え、戦時における「人間」の真実を圧倒的量感で描き出す。作中にはあらゆる種類の人間が登場するが、作者は一貫して登場人物達とは一定の距離を置き、あくまでも冷静さを失わずに「人間」の総体を描き出そうとしているように感じられる。分厚い作品なのに異常なほどのリーダビリティを具えており、頁を捲る手が止まらなかった。執筆ノートによれば本作は全五部作になる予定だったはずなのだけど、そこまで描かれていれば『カラマーゾフの兄弟』並の傑作になるに違いないと思えるだけに本当に残念でならない。