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週末カミング

週末カミング

傑作『わたしがいなかった街で』に続く柴崎友香の新作短編集。最近成長めざましい作家なので今作も期待して読んでみたのだけど、冒頭の作品がいまひとつで「あれれ?」と思っていたら、後半の作品は面白かった。巻末で確認すると前半の作品は随分前に書かれたもので、後半は最近書かれたものだった。

むかし柴崎友香の作品に文学は無かった、と思う。内面世界を描くよりも風景を描くことに拘泥しており、そこに文学的な意味での切迫感はなかった。けれどあるときを境に彼女は変わり、世界内存在としての自分を如何に了解するかを描くようになった。今作でもその傾向は明らかに見て取ることができ、登場人物達は、風景の中に揺らぐ自分や世界の在り方を問い、そして了解する。ふだん僕らが生きていて何気なく見過ごしてしまう世界の美しさを適切に言語化する筆力にかけては言うまでもないけれど、最近では切り取られた外面世界と内面世界の対比がなされるようになってきており興味深い。仔細でリアルな風景描写は内面を描くことにもつながるのだなと感じる。