Usotsuki Online

Do you believe in the magic of make-believe ?

夕方から友人と六本木で『ゼロ・ダーク・サーティ』を観た。160 分弱と長尺な映画だったけど、全く間延びすることがなく、非常に面白く質の高い映画だと感じた。間延びしないと言っても常に場面が切り替わるというものではなく、むしろ徒労に終わるのではないかと思われるような──膨大な情報の中に微かに含まれる(かもしれない)真実を見出していく地道な作業が延々と繰り返される。そこにドラマティックな展開やカタルシスはなく、数年に及ぶ捜査は主人公に極限の忍耐と執着を要求する。特に後半までは地味な題材の作品ではあるのだけど、全編を通じていっさい弛緩しない構成と演出の巧さが目立った。どの場面にも非常なリアリティがあり、まるで現実にあった追跡劇を追体験しているかのような、圧倒される作品だった。とても面白かった。

映画のあとは他の友人やその彼女と合流してご飯を食べて終電で帰宅した。なぜか漫画や小説やアニメや映画の話になったのだけど、アニメというものはどうしても敬遠されがちだなと思う。確かに僕も敬遠していたけれど、社会人になってから深夜アニメを見るようになったという人は周囲にも多い。自分もその口で幾らか見ているわけだけど、今のアニメって昔のような漫画に近いモノではないのだよね。むしろ実写映画に近い──あるいはそれを超えるくらい演出にこだわっていて、その上、実写には決して出来ないような場面を演出することが出来るので、場合によっては実写映画よりも遙かに濃縮された「空気」みたいなものを描くことが出来る。端的に言ってしまえば質が上がったということなのだけど、それを食わず嫌いするのは勿体無いよねという話。

群像 2013年 03月号 [雑誌]

群像 2013年 03月号 [雑誌]

今月の群像には青山七恵『快楽』が掲載されているということで早速読んだ。期待通り面白かった。それぞれに「欲望」という役を振られた 4 人が描き出す愛の劇場。ますます磨きのかかった描写の巧さも相俟って物凄い没入観。一気に引き込まれた。ここまでやってもくどさを感じない現代的な匙加減は流石の一言。彼女は最近明らかにより大きな物語を書くために試行錯誤をしていて、そこがますます期待させてくれる。本当に今一番好きな作家のひとりだ。正直芥川賞をとったときは彼女がこんな大作家になるとは思ってなかったけど、当時の選考委員が慧眼だったということなのかもしれない……。