Usotsuki Online

Do you believe in the magic of make-believe ?

SDIM1573

忘年会が続く。明日はクリスマスパーティ。

今日は少し時間があったので昔会社でつくったツールをリファインして幾つか機能を削ったりするなどして GitHub に push したりしていた。毎年プログラマ界隈で開催されている Advent Calendar なるものに参加してみようかなとか思ったのだけど既に満席だったのでこっそりどこかに記事でも書こうと思った。

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

最近この作品を読んだのだけど抜群に面白く且つ好みに合っていたので二度読み直してしまった。どの作品も良かったが完成度で言えば『デュオ』だろう。収録されている中では唯一 SF 的な要素がほとんどない作品ではあるが、タイトル通りの重層的な構造があらゆるところに立ち現れ、幾重にも重なり共振していく。対立構造の螺旋。特にステージとその裏で密かに繰り広げられる闘いを同時に描くクライマックスは圧巻で、頭の中には音楽が響き渡り、眼前に圧倒的な量感を伴ってその光景が浮かんでくる。これはひとえに作者の持つ高い筆力と重層的な構造の賜だろう。『夜と泥の』もそうだが非常に五感を刺激する作品を描く作家だと思う。視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚……あらゆる感覚を刺激するガジェットがそこかしこに出てくる。『夜と泥の』はある星の蠱惑的かつ幻想的なイメージを導き手として、その星で繰り広げられるある神話を主人公達が視るという作品であるが、過剰なほどに重ねられた感覚の描写に酩酊感すら覚えるほどだ。この『夜と泥の』も『デュオ』も、そして表題作である『象られた力』もそうであるが、どの作品も魅力的な SF ガジェットを活かして五感を刺激しつつ、世界を「ひっくり返す」ことに長けていて読んでいて実に面白い。これが 20 年前の作品群であるとはとても信じられない。今でも全く色褪せることのない国産 SF のマスターピースのひとつだと言って良い。