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SDIM0608

昨日は 23 時前に退社し、今日は飲み会。愚痴を言っても良いことなんて無いと分かっているのに言ってしまって自己嫌悪。

世界のすべての七月 (文春文庫)

世界のすべての七月 (文春文庫)

ティム・オブライエン『世界のすべての七月』を読んだ。非常に面白い群像劇だった。五十を過ぎた壮年の男女が大学の同窓会で再会し、三十年に及ぶそれぞれの個人史を語り合う。マジックリアリズム的な手法も織り込まれていて個別のエピソードがそれぞれに魅力的。特にデイヴィッド・トッドのエピソードは素晴らしい。一方で個々の物語に関連は無く、物語は全くバラバラだ。にも関わらず、同じとき同じ場所で再会した彼らの物語は、やがて共振しあい清冽なラストへと向かってゆく。ときどき読み終えて「夜が明けた感覚」を覚える作品があるけれど、この作品は正にそれだと思う。同窓会が終わり、各々が自らの生活に戻り生きてゆくその瞬間。夜を越え生きる縁としての記憶を確認し、過去と向き合い、そして現実へと帰還したその瞬間にそれぞれの胸に去来するものは何か。自分たちは余りにも多くのものを喪失したけれど、しかしそれは自らが選び取った結果であるという事実を従容を受け入れ、悩みや葛藤を抱えながら何とか折り合いをつけて生きてゆこうとするひたむきな姿が愛おしい。

「私たちの心にしがみついて残るのは、私たちが自分で決断したことなの」とポーレットは言った。「私たちがイエスと言ったとき。私たちがノーと言ったとき。最終的な決断を私たちが思いきって下したとき。結婚すること。結婚を帳消しにすること。たとえば、私があの気の毒な女性の家に不法侵入したとき。それがもたらしたすべての結果。私はもう牧師ではないという事実。それからたとえば、あなたがカナダに逃亡したこと。人生というのはそういうことによって初めて人生らしくなるのよ。なぜならそれ以外の記憶なんか、ほとんど全部どこかに消えちゃうんだもの。つまり、おしっこをしたこととか、昼の連続テレビドラマとか、かさぶただとか、休暇だとか、これまでに電話で交わしたほとんどの会話とか、その手のこと。量にしたらものすごいたくさんの時間。まるで自分の人生を、一度もまともに使わなかったみたい」