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Usotsuki Online

Do you believe in the magic of make-believe ?

SDIM0950

屋久島旅行初日に横河渓谷で iPhone を水没させてしまった。ポケットからするりと落ちた iPhone が薄墨色の岩壁を滑り、ぽちゃんという些か気の抜けた音がして気がつけば水底にその身を留めていた。流されずに岩の隙間に引っかかっていたのは僥倖という他なく、一方で今このときに水没したという事実には天啓に似たものを感じた。急ぎ拾い上げてハンカチで水滴を拭き取り、SIM カードをイジェクトしようとしたが持ち合わせではどうにもならなかった。後でイジェクトしてみるとカードの裏面が変色していたので恐らく壊れていると思う。

iPhone が無い状態というのは些かの不便を感じるけれど、友人には「これで強制的に(好きな人と)連絡を取らなくなるし良いタイミングだったね」と言われてその通りだと思った。届かないものを希求していても仕方ないのかもしれない。二日目以降、折に触れてはどうすれば良いのか考えたけれど、今でも余り整理出来ていない。文目も分かぬ闇の夜空に煌めく星を眺めながら脳裏に浮かんだのはあの人のあえかな姿で、多分僕はあの人のことが本当に好きだし、一緒に何かを作り上げていくことが出来れば良いのになとやはりいつものように考えた。けれどあの人の隣に自分が並ぶことはきっと無いのだろうという漠とした諦観をこのときはっきりと認識し、では一体自分はどうしたいのだろうという自問を抱えながらベッドに潜り込んだ。あの人が自分に魅力を感じることはこれからも無いかもしれないけれど、少なくとも自分自身をもっと磨かなければならない。なんて見苦しいことを考えながら。頭で理解したように身体が動かず、理性がコントロール出来てない。情動に従って行動するなんて笑っちゃうよね。